ダメな夏の落し物
事が起こって少し時間が経つのですが、思い出したので書き留めておきます。
ある日仕事をしていると、店の入り口の外で何やらガサガサと音がしました。
カット中だったけれど気になったので、手を止めて戸を開けると、ドアノブのところにビニール袋がかかってました。
中身を見ると、近所のコンビニで現像されたであろう数枚の写真と、喘息用の吸入器が入っていました。
写真はうちの店の外観を撮ったものでした。
うちのお客様の中で年配の写真が趣味のおばあちゃんがいて、いつも出かける時は立派な一眼レフを首から下げているので、てっきり私はその方が撮ったのを現像して持ってきてくれたのだろうと思っていました。
それから一ヶ月ほど経ったとある日に、そのおばあちゃんがカットで来店されたので、来て早々「先月くらいに写真を持ってきてくれてました??」と聞いてみたところ、おばあちゃんは身に覚えがないという。確かにそのおばあちゃんは撮った写真は自宅のパソコンで自分で印刷するので、コンビニでは現像しない。
しかも、それらの写真をよく見ると、お世辞でも上手いとは言えないど素人がバカチョンカメラ(インスタントカメラのこと)で撮ったような写真だし、もっとよく見ると、そこに写っている店の外観はもう何年も前のものだった。
なぜ何年も前のものと分かるかというと、壁の色を何年か前に塗り替えたし、以前外に出していたお知らせの看板の日付は11月となっていた。
じゃぁ、、誰が??
他にこういうことをする人がピンとこなかったので、モヤモヤしながらビニール袋のままとりあえずレジ横に置いていた。
1日の仕事が終わり、「そうだ、自分の髪を染めよう!」と思いたち、閉店後にいつものように自分でカラーをしていた。
時計が20時を指す頃。
ある程度染まり、シャンプーをしていると、いきなりドアが「ガチャッ」と開いて、
『あのぉ〜、写真は受け取ってもらえましたかねぇ〜??』
と言いながらオジサンが店に入ってきた。
「お前かっっ!!!」
と心の中で叫びながら、
「すみません、誰が置いてったかわからなかったです〜」と言って吸入器だけ返した。
そう、そのオジサンとは、奴のことだ。
普段は閉店後も店にいるときはカギをかけるのだけど、その日はたまたま忘れていたのです。
ストーカーかなんかかと思って、久々気持ち悪い思いをしました。
無言で写真はダメよ。