大人になれない35歳のパンティ事情
わたしは、どーしてもティーバックが履けない。
わたしの友人達は、わりとティーバック愛用者が多く、彼女らに言わせると「一度履いたらやめられない」という。
どんなところがいいのが尋ねると、
・洋服にパンティの形がひびかない
・お尻の形がキレイに保てる
・白い服を着る時に必須
みたいなことをあげるのだが、
確かにズボンを履いた時にパンティの形が見えてる人を見ると、ちょっと残念な気持ちになるし、パンティからはみ出たお肉はとてもみっともない。
そこまで言うなら。と、わたしも一度ティーバックに挑戦したことがある。
わたしが長年愛用している、サルートという下着ブランドで、ブラジャーとパンティを買うとき、いつも店員さんにティーバックを勧められていて、その度に「ふつうのやつで。」と答えていたのだが、そのときは「えぃやっ!!」という心の掛け声と共にティーバックを選んだ。
サルートというブランドの下着は、全面に散りばめられた繊細な刺繍が特徴であり、デザイン性のみならず機能性も充実しており、お値段も諭吉を二人連れていかないと買えないのだが、わたしは自分のカラダを一番美しく形どってくれる下着はこれ以外にないと思っている。
だが、ティーバックに関してはちょっと違った。
友人らが口を揃えていう「気持ちよさ」を期待しながらいざ履いてみると、大事な部分の布がかなり少ないため、「なんか、ヒモみたい。」というのが率直な感想だった。
とても気持ちわるい。ズボンに尻がこすれて、気持ちわるい。
わたしはこの瞬間、素敵な大人の女性になるのをスッパリと諦めた。
やっぱり布いるわ。
それ以来、ティーバックは履いてないのだが、一応タンスの奥に眠っている。いつか来る出番を待ちながら。
最近はティーバックを超えるパンティがあるらしい。
わたしにはラブリーな〝一反もめん〟にしか見えない、この貼るだけパンティ。
さすがイタリア、情熱はんぱない。
昔流行った〝ヌーブラ〟も抵抗があったのに、この貼るだけパンティはシリコンでピタっとくっつくらしいのだが、乾燥肌の人はどうしたらいいのだろう。
これを考えた人は、乾燥肌の人のことも考慮したのだろうか。
いや、そもそもそんな問題ではない。スカートにこれ着けてて、ハラリと落ちたらどーすんの?
「お姉さん、パンティ落としましたよ!」と声をかけていいものだろうか。
それから恋愛に発展したりしたらすごいよな。
「出会いは?」
『彼女が落としたパンティがきっかけです。』
なんてことになりかねない。
ってなことを考えながら、ぴっちぴちの白いタイトミニスカートを履いた女性の尻に目線がいく。
(この人は貼るパンティかな)
ってなことを考えながら、本屋で冴えない見た目のお兄さんのレジに並ぶ。
みうらじゅんの「人生エロエロ」を一番上にして。
「カバーどうされますか?」
『いりません。』