シンギングインザ雨
時は中学生時代。
一夜漬け専門の私はテストの前日ギリギリまで余裕をかまし、試験勉強をするフリをして「北野クラブ」というラジオを聴いていた。
JK北野順一がリスナーに電話で聞く質問、『今日のパンツの色は何色ですかぁ〜?』に、わたしも〝しろ〜っ〟だの〝ピンク〜っ〟だのと、一緒になって答えていたものだ。
そして友達に「私全然勉強してない。」というと、「わたしもぉ〜」と言われ、(おぉ、同志がいるぞ)と安心して試験に挑むのだが、お分かりのように友達のソレはフェイクだったのだ。
プールもそうだ。
以前の記事にも書いたが、世間の泳げないレベルが私のレベルとまったくちがう。
私は本気で泳げない。5メートルも泳げない私に、25メートル泳げる人は「泳げない」と言わないでくれたまえよ。
わたしの通った中学校では、年に一度マラソン大会なるものがあった。女子は2キロ、男子は4キロを走らなければならない。
運動音痴以前に、キツイだけしかなくひたすら走るだけのマラソンに意味を見いだせない私は、年に一度のこの日がとてつもなく大嫌いだった。
走り終わったらPTAの役員による豚汁が振る舞われるのだが、そんなものいらぬ。
「神様、どうかマラソン大会の日に隕石を落としてください。」という祈りも届かず、雨にも振られ、体操着を着た私達は学校裏の土手に集められるのであった。
「一緒に走ろうね」
この言葉ほど信用出来ない言葉はない。
一緒にスタートした友人は、いつの間にか先に行ってしまった。
どうしても止まりたくなった私は、トボトボと歩いてはまたちょっと走るというような事を繰り返しながら、どうにかゴールまでたどり着いた。
世界はうそつきだ。
そんな心傷ついた中学生のキミのリクエストにお応えします。
心ゆくまでずぶ濡れになってください。
「X JAPANで、エンドレスレイン。」