私の中のワタシを忘れるために

錠剤は一粒ずつしか飲み込めない人が書くブログ。

神様のいうとおり

ビジュアルアーツ

 

昨晩地元のライヴを観に行ったバーで、ふと、この言葉が私の耳に入ってきた。

ビジュアルアーツとは音楽や映像や声優などを目指す人たちが通う専門学校のことで、そういえばむかし私が高校生の時、進路をそろそろ絞ろうかという時の候補のひとつに、このビジュアルアーツも入れていたなぁということをぼんやりと思い出した。

 

子供の頃から一応「将来は美容師になる」と信じていたのだけれど、高校生の時にスマパンスマッシング・パンプキンズ)のダーシーに憧れて始めたベースで「音楽したい!」と、かなりアバウトな考えで進路候補に真剣に〝そっち方面〟も付け加えたような気がする。

 

高校生の頃の私は〝ワルそぉな奴〟はだいたい友達ではなかったし、いまのように〝地元のライブハウスにバンドを見に行く〟という術を知らなかったため、〝親の金で専門学校に行く〟みたいなことしか考えつかず、今考えたら専門学校行くお金あったらそこそこいい機材買ってめちゃくちゃ練習して実践を頑張った方がいいような気がするが、鳥かご程度の視野の狭さにぷかぷかと浮いていた私には、そのようなアイディアに縁がなかった。

 

うちの母親はむかし、親戚に紹介された「神様と話ができる」という先生(怪しさ満点の見た目はただの小太りなオジさん)を、いたく信じていた。

その先生は普段は県外に拠点を持ち、たまに親戚と一緒に私の祖母の家にやってきて主に整体と神様との交信をしていたのだが、私が進路をぼちぼち決めねばというある日、「先生が来るみたいだから進路どれがいいか相談してみなさい。」という母親に連れられ、学校の先生ではなく〝神様に聞いてくれる先生〟に会いに行った。

 

私は三つの選択肢を用意していた。

ひとつは美容師。二つ目はトリマー。そして三つ目は音楽関係。

「どれがいいですかね?」と先生に尋ねてみると、先生は「ちょっと神様に聞いてみますね」と言い、目を瞑ってウンウンと頷き、たまに首を横に振ってみたりしながら神様とやらに聞いてみてくれていた。

すると返ってきた答えはこうだ。

「音楽はやめときなさい、成功するのは一握りだから。トリマーはねぇ、ペットにお金をかける人かけない人いるでしょう。人間は髪が伸びれば必ず切るもんだから、美容師にしなさい。そう神様が言ってます。」

 

なんだか誰でもできそうなアドバイスが返ってきた。

先生、もとい、神様のアドバイスは聞かなかったことにし、もう一度自分で考えてみて、「やっぱり確実に仕事するなら美容師かなぁ」みたいな感じでそのまま迷いなく美容師の道へと突入していくのであった。

 

あの時ビジュアルアーツの道を選んでいたら、今頃わたしはどこで何をしていたのだろう。そんなことを思いふけながら、ぶどうジュースの中に浮かんだ氷をくるくると回していた。

 

どーれーにしーよーおーかーなっ

かーみーさーまーのーいーうーとーおーりっ

かきのたね ごはんつぶ

あっぷっぷーのーーぷっ!!!