私の中のワタシを忘れるために

錠剤は一粒ずつしか飲み込めない人が書くブログ。

あの頃はまだ野良猫じゃなかった。

わたしの中に深く刻まれた「裏切りの傷」は、Dくんだったのかもしれない。

そうだ。
彼はわたしを紹介されたのち、正式な彼女として付き合うわけでもなく、ただ都合よく私をつかい、挙げ句の果てにコロッと180度態度を変えた奴だ。

『お揃いで買ってきたゴムのブレスレットをわたしが先に手にはめたから』という理由だけで、わたしへの熱も一瞬で冷め、その場で怒り、「そーゆうことされるとオレ、ホントむり。ごめん、ないわ。」みたいな言い方をされながら強制的に家に送り届けられ(その場で捨てられなかっただけマシだったのかもしれない。)、その日以来一切連絡が途絶えてしまった男である。

その程度で怒り狂うような器の小さい男など、今となってはこっちから願い下げだが、当時わたしはまだ若かったし、野良猫でもなかった。
オトナになるにつれて出来上がった分厚い壁や人を疑う恐怖心のはじまりは、ここら辺りから始まったのかも。と、ふと思った。

「さっきまでのデレデレした態度はなんだったの?」というくらいの豹変ぶりで、わたしも自分がしたことがそんなに彼を怒らせるほどのものだったのか?と、今思い出してもよくわからない。

そのDくんが怒り狂った経緯とは。

 

あるとき仕事終わりにDくんから「渡したいものがあるから会いたい、迎えにいく。」と連絡があり、会うことになった。

私は「なんのプレゼント??」と、いつも以上にワクワクしていた。

軽くドライブをしたのち、Dくんはてきとうにその辺の空き地のような場所に車を止め、何やらガサガサと袋を取り出した。
当時サッカー選手などを中心に流行っていた、チャリティーのラバーバンドがあり、Dくんがそれを自分と私の分を二つ買ったからと、嬉しそうに私にくれたのである。
(ラバーバンド……。指輪とかじゃないのか…。)と淡い期待は外れたが、そうやって私の事を考えてくれたのかと思うと、それはそれで嬉しかった。

どっちがどっち?」
と私が聞くと、
『一応サイズ違いで買ったよ、見てみて。』
と言われたので、二つのラバーバンドを合わせて比べてみた。
(こっちの方が小さい気がするなぁ……)
くらいの違いだったので、とりあえず小さそうな方を着けてみた。
すると彼が、
『ホントにそっち?』みたいな事を言い出したので、
こっちだと思うよ〜、ちょっと待ってね。
と言いながら、なぜかもう一つの彼のぶんのラバーバンドも自分の手にはめた。
恐らくわたしは、着けてみてサイズ感を比べたかっただけだとおもう。
が、その行動がDくんの怒りを買うことになってしまったのだ。
このあと、冒頭の会話に至る。

いくら謝っても許してもらえず、さらに連絡も途絶えてしまい、わたしは少し前の自分を責めた。

 

自分で言うのもなんだが、わたしは強い。
どんな武器を持って来られても、手を使わず口だけで勝てる自信がある。
…はて?それは何に対してだったのだろう?
もう二度と傷つかなくていいように、年々鎧は分厚くなっていくのであった。