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私の中のワタシを忘れるために

錠剤は一粒ずつしか飲み込めない人が書くブログ。

飲み込んでため込んであたれば吐いちゃいな

高校時代のクラスメイトに、名前が私と一文字違いのマサミという子がいた。

高校時代と書いたが、マサミと友達になったのは確か小学生の頃。彼女は昔からわりとお調子者で、みんなを引っ張るようなリーダータイプだった。私から見たらかなり独特の個性を持った人で、その個性が良かったり悪かったりもした。

 

好きか嫌いかといえば好きな方だったが、家に遊びに行ったりもしたことがあるのにそこまでべったりとした「友達」ではなく、気が向いたら話したり、遊んだりするような間柄だったような気がする。

 

マサミとは高校2年で同じクラスになり、席が前後だった。

学生時代の私は平々凡々と暮らし、地味におとなしく地を這うように生きていたため、いわゆる〝目立つグループ〟の中心にいたマサミが私に音楽のことを聞いてきた時は、びっくりしたのと同時に少し嬉しかった。

 

高校2年の夏休み。おそらく一生のうちに使える運を、ここに大いにつぎ込んだであろう奇跡が起こった。

バックステージに仕事で行く事になった親戚のおばさんの誘いで、フジロックフェスティバルに行くことになったのだ。

 

その年はまだ東京で開催されていた時で、ステージは二つしかなかったのだが、「見たいバンドのいるステージに移動する」という術を知らなかった私は、1日目、お目当てのBECK(ベック)が出るグリーンステージにてひたすら待機していた。

 

二日目。この日はプライマルスクリーム待ちで、やはりグリーンステージに待機していた。

すると、わりと早めの出番でめちゃくちゃかっこいい音が鳴り出した。

 

 細身のスーツをさらりと着こなした、ロックで超かっこいい四人。ミッシェル・ガン・エレファントだった。

当時ミッシェルを知らなかった私は、この時かなりの衝撃をうけ、ちびりあがってしまった。

 

その瞬間から私はミッシェルの虜になってしまい、東京から帰るなり、ミッシェルのCDを買い漁ったのはいうまでもない。

 

 

フジロックで観た時はちょうど「Chiken Zombies」というアルバムからの曲をやっていて、このアルバムから入ってしまったため、未だに私の中で一番好きなアルバムはコレになっている。

 

 

高校にウォークマンのCDのやつを持って行って聴いていた私に、マサミが「それ、何聴きよん?」と訊いてきた。

 

「知らないだろうけど……」と言いながら、ミッシェルというバンドについて軽く教えてあげた。

私はてっきり、「ふーん」とかで終わるんだろうなって思っていた。

すると、マサミは

『今度CD貸してよ!』と言いだした。

 

私はそれがすごく嬉しくて、すぐに「Chiken Zombies」を貸してあげた。

 

何日かしてマサミからCDが返ってきた。ちゃんと聴いたのかとかは期待していなかったけど、彼女がこう云っていたのを覚えている。

 

『はいちゃいな!って、おもしろいね!いいねっ!』

 

 

 

もう何年前になるだろうか。

ある夏の日、仲の良い友人から突然連絡がきた。

「マサミが自殺したって。私も知らなくて、もう葬儀とかは済んでるみたいなんだけど、お参りに行かない?」

 

私と友人は二人でマサミの実家に線香をあげにいった。家に行くと彼女のお兄さんとお姉さんが出迎えてくれ、私達は写真の中のマサミに手を合わせ、なんとも言えない気持ちでマサミの実家をあとにした。

 

 

音楽には思い出が宿ることがよくあるが、ミッシェルの「ハイ!チャイナ!」を聴くと、よくわたしを笑わせてくれた彼女のことが、ぼんやりと浮かぶのだ。

 


[LIVE] TMGE - CISCO~G.W.D.~中断 (FUJI ROCK '98 in TOKYO)