私の中のワタシを忘れるために

錠剤は一粒ずつしか飲み込めない人が書くブログ。

手軽!コスパ重視!の罠

今日髪を切りに来た父親が、おもむろにこんなことを言い出した。

 

「今ね、ジェルみたいなやつを髪に塗ったら日光とか蛍光灯の光で染まるやつがあるらしいよ。」

 

ハイ出た。胡散臭いやつ出た。

父の話によると、塗った液剤を流さずそのままでいいらしい。

 

『え?気持ち悪いやん。』というと、

 

「いや、整髪料のジェルみたいなやつらしいよ」

というので、おそらく塗って少し時間が経ったらパリッとなるんだろうと、私は想像した。

 

グーグル先生に「ヘアカラー 光」で調べてもらうと、多分これだろうというのが出てきた。

その謳い文句はこうだ。

『光で簡単に染まる洗い流さない白髪染め』

 

で、一応父に「そう言うってことは、少なくとも良さそうって思ったんだよね。どこがいいって思ったの?」と尋ねると、簡単な所。と言ったのだが、そんな父は既に手軽でスピーディーを長年掲げている「ビゲン」を愛用しているのだ。

5分で染まるのに。しかもかなりしっかり染めてくれるのに。それ以上時間を捻出して他に何をするというのだろう。

実家に行くと見る父の姿は、大体スマホにイヤホンをつけてラジオを聴いてるか、はたまたその辺でゴロゴロ寝ているだけなので、私が見る限りそんなに時間に追われている風ではないのだが。

 

その薬剤を使ってないので、確かなことを言えないままこんなことを書くのはどうかと思いながらも書かせてもらうが、私が予想するに、そのカラー剤はちゃんと染まらないと思う。

なぜなら、光で染まるからだ。「髪が染まる」トリガーが、「光」だからだ。

 

白髪が、というか、髪は普通、根元から伸びる。なので、染まってほしい部分というのは必然的に根元になる。

私たちが普通に生活していて、光に当たるであろう根元は、前髪がある人はトップのみ。前髪が耳にかかるくらい長くて常に耳にかけていても、トップと顔周り程度。

 

このサイトの「ご使用前に必ずお読みください」に、こう書かれてある。

・光に当たることで染まる特性です。光の当たりにくい内側部分などは染まりにくいことがあります。

 

そんなことちょっと考えたら分かると思うんだけど、「簡単!コスパ重視!」で飛びつくと、裏が見えなくなってしまう。

いつでもどこでもスーパーサイヤ人になれる能力がない限り、普段の生活で根元にまんべんなく光を当てるのは到底難しい。というか、無理。

それでもいい、この感じが好きなんだ。という人はそのまま使ったらいいと思う。物の選び方や使い方はそれぞれだから。

 

ただ、私の父の場合の「手軽さ」には、もっと別の理由があった。

 

「そろそろ染めたいって時、自分のタイミングでできる。今はお母さんに染めてもらってるから、もう直ぐ染めたいってのを匂わせておいて、じゃあ何日にしようって話をつけるから。」

あー、お母さん機嫌次第だもんねー。

なんかとても切なくなったので、「今度からビゲンも持っておいで」と云った。(ビゲン愛用なので)

 

ちなみに、この手のカラーをした後、また普通の2剤を混ぜるタイプのカラーで染めたら緑とか青とか、変な色(今寒色が流行ってるのでそれはそれでアリだけど、おそらくこれを使うような方は寒色を求めてないだろうから)になるのは本当なので、注意してくださいね。※注意書きにもあります。

美容室に行って染めてもらう時は、ちゃんと「光のカラー使いました」と一言伝えてください。じゃないと、変な色になります。変な色になる覚悟で行ってください。これは美容師さんはどうにも出来ない場合があります。

 

この光のカラーは80グラム4320円。送料500円。あと680円で送料無料。

商売うまいなと思うけど、一本買っても4820円。二本なら送料は無料でも8640円。

この80グラムというのは一回で一本使ってしまうサイズだと思う。(美容室で白髪を染める場合、平均的に1剤50グラム、2剤50グラム、最初の1カップには100グラムの薬剤が入っていると思ってもらっていいです)

安さに良しとするか、しっかり染める方を選ぶか。

(しかし安さといっても、私から見たら質、量、総合的なバランスでいうと高いと思う)

 

確かに美容室一回の料金で二回染めれるのは安さを求める人にはいいかもしれない。

だが、それらで染めて満足いかなかった人が再度美容室に染め直しに来るのも事実。せめてドラッグイレブンに行って欲しい。ドラッグイレブンを儲けさせて欲しい。

 

……というのが、いち美容師の私の切なる思いでございます。