私の中のワタシを忘れるために

錠剤は一粒ずつしか飲み込めない人が書くブログ。

敬愛する木下理樹(ART-SCHOOL)について考えてみた

わたしが初めてアートスクールを知ったのは、最初に勤めた美容室でのこと。

店のセット面に付いていたテレビから流れるMTVミュージックチャンネルで、地下の暗いトンネルをひたひたと颯爽に歩き続ける木下理樹が目に入った。
 
なんこれ。めちゃくちゃかっこいいやん。
 
わたしはすぐに音源を調べ、CDを買いにいった。そして、音楽の趣味がわりとかぶっていた先輩に「ちょっとくねくねしてないベンジーみたいなカッコイイバンドがおる‼︎」と教えた記憶がある。
 
ART-SCHOOLとは、現在木下理樹g&voを中心に、オリジナルメンバーの戸高賢史g、サポートの中尾憲太郎b、藤田勇dr、で活動しているバンドである。
 
簡単に言うと、アートスクールというバンドは暗い。そして、リッキー(木下)が作る音や詞は全体的に脆く少し触ればぱりんと割れてしまいそうなほど儚い。煙が消えたり消えなかったりして漂うような、そんな不安定さがとても滲んでいて、そこがじつに美しい。
 
大好きなバンドだが、ひいき目なしで、わたしは全ての作品が好きだ。捨て曲はない。
中でも特に「Love/Hate」というアルバムが好きで、この時期はメンバーのアレコレが色々あったようだが作品はとても素晴らしい。
 
個人的にはこの中の「プールサイド」から「しとやかな獣」への流れが好きだ。
 
「あなたは汚れたままでいい…」とうたう彼の詞には、人間や世界の薄汚さや生々しさもひっくるめたあらゆるダークなものとの対極にある美しさを常にみているんだろう、ということが伺える。
 
10年ほども過ぎれば、ある程度バンドの音や初期の熱も冷めてくることが少なくもない中、アートスクールは昨年の活動休止から熟成期間を経て、独立し、先日のニューアルバム「Hello darkness, my dear friend 」を引っさげて帰ってきてくれた。
 
今までの彼らの音と比べると、「お、そうきちゃう?」というような、明らかに音の運びがポジティブに感じられた。
 
骨折して今までより少しだけ強くなったような、なんもいいことないけど、まぁ、とりあえず前向くか!みたいな、相変わらず派手さはないけど「リッキーなんかいいことあったのかなぁ?」みたいな。
 
Monoeyesからトディ経由でアートを知った方にも、知らない人にもぜひ聴いてみて欲しいな。CD買って気に入らなかったら、美しいジャケを額縁に入れてインテリアにしてもいいとおもう。だけどCDは聴くものだから、やっぱり聴いてもらえたら嬉しいね。
 
これからもマイペースに頑張ってほしい。
 
おかえりなさい!
 

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Hello darkness, my dear friend

Hello darkness, my dear friend