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私の中のワタシを忘れるために

錠剤は一粒ずつしか飲み込めない人が書くブログ。

マスミ・ウィッチ・プロジェクト〜正しい子供の叱り方〜

以前、わたしと妹と妹の子供たち(低学年2人、保育園ちびっこ2人)とで買い物に出かけた時のこと。

子供たちが騒ぐのは仕方のないことだけど、狭い車内であまりにもギャアギャアと暴れまくり、本気でイライラしてきたので、とりあえずわたしは魔女になった。

 

獲物を狩るヒソカのように、あたかもそれまでそこにいた〝わたし〟と中身がすっかり入れ替わってしまった程で、ほんの少しだけ身をかがめ、目を座らせ、背中におどろおどろしい空気を背負い、たまに不気味な笑みを浮かべながら、まずは低姿勢で挨拶をしてみた。魔女のときは敬語を使う。

ヒソカ (ひそか)とは【ピクシブ百科事典】

 

私「こんにちは。私はマスに頼まれてやってきた魔女です。」

子(全員) しん。。。動きが止まる。

低学年「えー!嘘やん!マスやろ〜!!」(ちょっと疑う、でもちょっと効いてる)

私「いいえ、魔女です。あなたたちがうるさいので、今日の夜ご飯のスープに入れようと思って、迎えに来ました。」

子「ヤダヤダヤダー!!!えー!嘘やろ???」

私「ほんとうです。では、今からお店に着くまでの間、一言も声を出さないでいることが出来れば、見逃してあげます。」

 

すると子供たちは「ひぃっ」と小さく漏らしながら、漫画のようにそれぞれ一斉に両手で口を押さえた。ふふふ。ちょろいもんよ。

誰かが喋りそうになると、カッと目を見開いてじぃーっと見つめるだけで、「声を出すな」という暗黙の制約が成り立ち、魔女と普通の成人女性とスープの素たちを乗せた車は、何事もなく静かに店へ到着した。

 

そんな風に魔女になったのも忘れ、何日かが過ぎ、また保育園のちびっこと会った時のこと。

 

おもむろに「きょぉはマスなん?魔女さん?」と言い出した。

まだ覚えてたんだー、ふふふ。ちょっと遊んでみよう。と思い、その瞬間わたしはまた魔女になってみた。

 

魔「魔女ですよ。」

子「へぇー、まじょさんはどこがおうちなん?」

魔「ちょっと遠いところです」

子「じゃ、マスはいまどこにおるん?」

魔「おうちじゃないですかねぇ」

子「マスのおうちはトディとモンク(飼い猫)がおるんばい!」

魔「知ってますよ」

 

ちびっこと魔女の世間話はいたって普通に繰り広げられた。魔女は世間話が苦手なので、実際あまり広がりはしなかったが。

そんな感じで、ちびっこはわたしに会うと突然思いついたように、魔女かどうかを確かめるようになった。

 

2月。節分の豆まきイベント近くになると、だいたいどこの保育園でも一人一人紙に絵を描いて鬼のお面を作らされる。

当然ちびっこの保育園でも豆まき用のお面を作ったようだが、ある日、そんなイベントがあることも意識に上らないわたしの元に、ポイーンっとLINEの通知音が鳴った。妹からだった。

 

「先生に鬼を描いてって言われたけど、『マスの魔女』を描いたんだって。横にいるのはコウモリ。」と、魔女のお面の画像が届いた。

そうか。キミにはわたしの後ろにいたコウモリが見えたんだね。。。その年で〝凝(ギョウ)〟が使えるとは大したもんだ。

「今夜にきめたわ!出発よ!」

ちびっこに魔女の素質を見出したわたしは、ちび魔女を連れて列車に飛び乗り、黄昏ながらあの人のママに会いに行こうとしたが、あの人のママどころか、ちび魔女のママに止められた。


そういえば、とわたしは思った。

時は小学生時代、まだわたしが全裸で家の庭先を走りまわっていたころ。

松葉ホウキにまたがれば飛べる。と信じて疑わなかった私は、飛ぶ感覚を養うため、松葉ホウキにまたがったまま、父親の原付スクーターにまたがった。

ひととおり飛び回って楽しんだあと、そこにはビリビリに破れたシートのスクーターだけが残っていた。